今春ドラマ化もされて破竹の勢いに乗る「レンタルなんもしない人」であるが、ここまでツイッターというツールを最大限利用してサービスに結び付けた時点で、この発案施行者の発想の勝利と言えるのではないか。
その手があったか、と。
レンタルなんもしない人ってサービスの需要はあるの?
人材派遣系レンタル業種の歴史
以前から「レンタルおやじ」なるものは存在していた。
確か時給千円だか二千円だかで、どんな頼まれごとでも引き受けます、みたいな。
ある程度需要もあったが成り手は限られ、サービスを依頼する方もサービスを授与する方もハードルが高い印象を受けた。
何かをして金銭が発生するというのも既存のサービス業と同じであるし、インパクトには欠けた。
そこで次に「レンタル家族」なるものが登場した。
これはインパクトがあった。
未婚独身で寂しい人が自分のイメージする架空の家族を実演してもらって、おままごと的にひと時を過ごすというものである。
しかしこれは更にハードルが高く、また人件費も2倍以上かかるため、価格もお高い。
サービスが終了すれば虚しくなるだけだし、何度も呼んだところで心が通い関係が築き上げられていくものでもないので、スナックで飲んでる方がマシな気がしてくる。
なので当然商売として浸透するものではなかった。
そこで新たに登場したのが個人で直接依頼を承る「レンタルなんもしない人」の登場である。
レンタルなんもしない人とは?
レンタルなんもしない人は完全個人事業主なので、依頼を選別してサービスを提供する側が客を選ぶ事ができる。
なので一般的なデリバリーサービスのように、依頼が来たら必ず受けるという制約もないため、サービスを提供する側にイニシアチブがあるというのが面白い。
その為サービスを依頼する客側も無茶な要望はできないし、引き受けてもらえるような用件レベルのものをある程度審議模索してから注文するわけで、互いの需要と供給が一致して初めて交渉が成立する。
しかも基本的には「なんもしない」代わりに代金も交通費だけなので、愛想もなければ役に立とうとする気概も最初からない。
どちらかといえばお客側が気を遣う関係性となる。
普通に考えたら商売として成立しない。
でも交通費しか取らないとなれば、なにかしら需要が生まれてくる。
サービス提供側に旨味がなく思えるが、どんな事業も発展するまでは赤字覚悟でボランティアの気持ちで始めた方がうまくいくという典型ともいえる。
事実今まで誰もやらなかったこのサービスが仕事として現在成立しているのだから、大成功モデルである。(現在は依頼料一万円が発生する)
特許を取っていたわけでもない為、このサービスを真似るヒトも続出し、今では全国に何十人何百人?とレンタルなんもしない人が存在するのだが、やはりパイオニアである森本氏だけがブランド化できているので、その他のマネっ子とは一線を画す存在である事に違いなく、一回に一万円を取れる「なんもしない人」は彼だけだろう。
レンタルなんもしない人を必要とする人
実際にこのサービスを依頼する人はいったいどのような用件でなんもしない彼を必要とするのか。
実に様々である。
例えば一人で入りにくいお店に一緒に入って欲しいだとか、一人では不安なので一緒についてきて欲しいだとか、一人では落ち着かないのでただ傍に居て見守っていてほしいだとか、友達に話せない個人的なグチや趣味の話を聞いてほしいとか‥。
このように並べてみると、女性の依頼が多い事も窺える。
女性は一人行動を恐れる人が多いので、特に恋人の居ない女性にとっては、恋愛に発展する事なく気軽に頼れる男の存在というのは需要があるのかもしれない。
でも「レンタルおやじ」じゃ嫌で、空気のように無味無臭でスラッとイケメンであるに越した事はなく、いやかなりそれも重要な要素であり、パイオニアである森本氏はその存在感と見た目に関して才覚を充分発揮していた事で成功できたといえる。
つまり誰でもできそうでいて、誰にもできるようなものでもないという事だ。
「レンタルなんもしない人」を仕事として出来る人間はかなり限られるし特別だ。
レンタルなんもしない人のメディア進出
私はSNSをやってこなかったので、その存在を知ったのはテレビからだ。
丁度一年くらい前にNHKの「ドキュメント72時間」という人気番組で特集されたのが、このレンタルさんのブレイクのきっかけとなった事は間違いない。
その後も続けざまにCXの「ザ・ノンフィクション」でも取り上げられ、書籍も出版し、そして現在ジャニーズ主演でドラマ化もされるという止まらないバズり具合である。
昨日そのドラマの初回を視聴したのだが、主演のNEWSの増田が実際のレンタルさんよりもチビブサで少々残念な印象を受けた。(あぁ、こんな事言ったら不細工なジャニヲタ達に逆レイプされてしまうのだろうか?はぁはぁ)
普通は実際よりもドラマの方が美男美女に脚色されるものなのになw
キャストに関しては先ごろ話題のスキャンダル俳優「東出昌大」が棒具合含めて適してる気もするが、テレ東深夜ながらジャニーズを使えた事の方が価値は上か。
森本氏ってどんな人?
私がツイッターでフォローしている数少ないうちの一人である。
彼は子持ちの既婚者であったが、サービスが軌道に乗った昨年に離婚が成立。
確かに若い女性依頼者の所へ毎日代わるがわるホイホイ出掛けていくような生活では、例え仕事だと言っても妻からしたらモヤモヤするに決まっているし、これを受け入れられる妻というのはそうそういないような気もするので、離婚も止む無しかと驚きはなかった。
森本氏は元々電通に就職した経緯もある高学歴のエリートであるが、全く社交的な要素がなかった為に勤まらなかったことで、このサービスを独自に開発するに至った。
彼は3年前にこの「はてなブログ」で忘備録を淡々と記述しており、超バズった記事がこちら⇩
これを書いたのが3年前のレンタルなんもしない人さんだったと後から知って驚いたものだ。
彼は今でもこの記事に独自のアドセンスを貼っていなかった事を後悔している模様。
そのくらい毎日誰かに読まれてる息の長いバズり記事らしい。
確かに面白い。
成功者のそれ以前の過渡期の思考が読めるというのがブログの素晴らしさというか、後の資産になりうるという理由を改めて気付かされた気がする。
なんもしないと言いながら、何かしてるからこそ、成し遂げられるものなのだと、教えてもらえたような気にもなる。